このレッスンでは、身の回りにあるIT技術を再発見するところからはじめて、IT活用を学ぶ重要性、ならびに本コース全体の構成について確認します。本コースで目指すところと、構成について把握をして、先のレッスンに進みましょう。
私たちの身の回りには、日常生活やビジネスシーンで自然に使われているさまざまなIT技術があります。IT技術と聞くと、パソコンにインストールされたソフトウェアや、スマートフォンのアプリなどが思い浮かぶでしょう。しかし、IT技術はそれだけではありません。家電、交通システム、店舗のレジや自動販売機、銀行のATM、さらにはオフィス内での業務支援ツールやクラウドサービスまで、私たちは気づかないうちに多くのIT技術に囲まれているのです。
こうしたIT技術は、コンピュータを内蔵した各種デバイス や、インターネットを通じて提供されるサービス によって実現されています。これらを支えるプログラムやシステムは、エンジニアやプログラマーなどの専門家たちが日々改良・開発を重ねており、私たちは彼らが作り上げたサービスや仕組みを当たり前のように利用しています。
ここでは、身近なIT技術のいくつかを取り上げ、どのようなものがどのような場面で役立っているのか、ビジネス目線も交えながら確認していきましょう。
パソコン や スマートフォン は、ビジネスパーソンであれば誰もが使うツールといっても過言ではありません。オフィスの業務で利用するオフィススイート(Microsoft 365やGoogle Workspaceなど)や、顧客とのやりとりに使われるメールやWeb会議ツール(Teams、Zoom、Google Meetなど)、ファイル共有やオンラインストレージ(Google Drive、OneDrive、Dropboxなど)といったサービスは、すべてIT技術によって成り立っています。
特にスマートフォンは、外出先でも即座に情報を確認できるポータブルなコンピュータです。顧客訪問先で商談資料を呼び出したり、移動中に社内SNSで連絡事項を共有したりと、ビジネス活動を機動的かつ効率的にサポートしてくれます。

現代のビジネスツール
インターネットは、全世界のコンピュータがつながる巨大なネットワークであり、IT技術の土台といえる存在です。近年、インターネットの普及率(人口普及率)は80%を超えました。これからインターネットは、さらに高速化し、繋げやすくなることでしょう。

出典:インターネットの利用者数及び人口普及率の推移(総務省)
インターネットを介してアクセスできるWebサービスは、ビジネスに欠かせない情報収集や営業活動を支えています。
これらは、場所や端末に依存しない柔軟な働き方を実現し、テレワークや海外拠点との連携をスムーズにします。

クラウドサービスの概念図
IT技術は、パソコンやスマートフォンだけでなく、あらゆるモノに組み込まれています。

ビジネスを支えるさまざまなITデバイス
近年、IT技術はAI(人工知能)やビッグデータ分析、クラウドコンピューティングによってさらなる進化を遂げています。
私たちは、これらのIT技術を活用することで、効率的かつ戦略的なビジネス活動を行なえています。オフィスワークや営業活動、カスタマーサポート、物流、販売管理、マーケティング分析など、どの領域をとってもIT技術が不可欠な存在になりました。
一見難しく思えるIT技術も、その裏側では「どこに何があり、どのように接続され、どのようなプログラムが動いているか」という基本的な原理原則があります。それらを理解していくことで、ビジネスの現場でITを使いこなし、エンジニアとの円滑なコミュニケーションを行なえるようになっていくのです。
現代のビジネス環境は、IT(情報技術)の存在なくして成立しないほど、高度にデジタル化・ネットワーク化されています。パソコンやスマートフォン、クラウド、AIツールなどの普及によって、私たちは以前には考えられなかった速度と規模で情報を収集・分析し、業務を効率化できるようになりました。こうした変化は企業活動に大きな影響を与え、IT活用スキルの有無が個人や組織の競争力を左右する時代になっています。
ここでは、なぜビジネスパーソンにとってIT活用を学ぶことが重要なのか、その背景や社会的な変化を交えながら解説します。IT活用とは、単にパソコン操作やソフトウェアの利用方法を知るだけでなく、ITを用いて課題解決・価値創出を行なう能力を身につけることを意味します。
現代社会では、新製品開発、顧客データ分析、在庫管理の最適化、リモートワーク環境の整備など、さまざまなビジネス上の課題が存在します。これらの課題を効率的かつ継続的に解決するためには、ITを活用したアプローチが不可欠です。
たとえば、
こうしたIT利用の先には、AIによる高度な意思決定支援や、IoTによるリアルタイムな情報収集・制御、クラウド技術によるグローバルな業務展開など、数え切れないほどの可能性が広がっています。

IT活用による問題解決サイクル(PDCA)
近年、世界的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流により、業界を問わずITリテラシーの高い人材が求められています。コロナ禍を経てリモートワークやオンライン商談が定着したことで、ITを活用した柔軟な働き方やサービス提供が標準となりつつあります。この変化は企業規模や業種を超え、地方企業やスタートアップ、NPO、行政機関にまで及んでいます。
しかし、ITリテラシーを持つ人材は全世界的に不足傾向にあります。日本国内でも、総務省や経済産業省の調査により、IT人材の不足が継続的な課題とされており、今後も需要は増加すると予想されています。特に、クラウドエンジニアやデータサイエンティスト、AI活用に長けた人材は引く手あまたです。
個々のビジネスパーソンにとって、IT活用スキルを身につけておくことは、キャリア形成上も大きなアドバンテージになります。「自分はエンジニアではないから」と敬遠してしまうと、環境の変化に適応しにくくなり、組織や市場での自分の価値を十分に発揮できません。IT活用は、エンジニアだけの仕事ではなく、すべての職種が関わるべき領域なのです。
世界各国でIT教育が拡大し、ITを用いたビジネスモデルは国境を超えて普及しています。日本でも小学校段階からプログラミング教育が必修化され、若い世代はデジタルツールに慣れ親しんで育っています。グローバル競争のなかで企業が生き残るためには、こうした若いITリテラシー世代を取り込み、全社員がIT活用の基礎スキルを備える必要があります。
IT活用スキルは言語の壁を越え、世界中で共通に通用するスキルセットです。オンライン会議やコラボレーションツールによって、国を跨いだプロジェクトチームが簡単に組成される時代、ITの知見は新しい市場参入や海外企業との取引でも重要な役割を果たします。

グローバルなIT活用
IT活用は単なる業務効率化にとどまりません。新たな価値創造を生み出し、世界中にアイデアやサービスを発信することが可能になります。たとえば、
このように、ITを使いこなすことは、個人のスキルアップやキャリアアップに直結するだけでなく、組織が持続的に成長するための原動力にもなっているのです。
IT活用を学ぶことは、変化の激しいビジネス社会を生き抜くための基本的な素養となっています。ITを用いた問題解決、戦略立案、新規事業創出、グローバルなコラボレーションなど、あらゆる局面でその意義が増し続けている今、IT活用スキルはすべてのビジネスパーソンが身につけるべき必須能力といえるでしょう。
本コースのゴールは、「ビジネスパーソンに必要なIT活用の本格的なスキル」を身につけることです。
本コースのレッスン構成について、まとめます。
| # | レッスン名 |
|---|---|
| 0 | 事前準備 |
| 1 | 本コースで学ぶこと |
| 2 | コンピュータと情報処理 |
| 3 | ネットワークとインターネットの仕組み |
| 4 | 情報セキュリティ |
| 5 | アルゴリズムとプログラミング |
| 6 | データベース |
| 7 | クラウド |
| 8 | これからのテクノロジー |
| 9 | システム開発の流れ |
| 10 | DXと業務改革 |
| 11 | ITとビジネス戦略 |
| 12 | 付録:プログラミング入門(Python) |
| 13 | 付録:プログラミング入門(HTML、CSS |
| 14 | 付録:ブログサイトを作ってみよう |
本コースは大きく2つに分けられます。前半はITテクノロジーの基礎ついて学びます。後半では、その基礎知識を活かして、システム開発におけるビジネスパーソンの役割など、ビジネスとITとの関係について理解を深めます。これにより、ビジネスパーソンに必要なIT活用の本格的なスキルを身につけます。
また付録として、よりスキルを高めたい方のために、プログラミング入門やクラウドサービスを活用したブログサイトの構築のレッスンも用意しています。
レッスン2以降の各レッスンを簡単に解説しておきます。
コンピュータの基本的な構成要素(ハードウェア、ソフトウェア)や、それぞれの役割について学びます。
ネットワークの基礎となる技術(TCP/IP、HTTP、DNS)について理解し、インターネットがどのように機能しているかを学びます。
情報の安全を守るための基本的な概念や技術、リスク管理やセキュリティ対策について学びます。
プログラミングとは何か、プログラミング言語の概要、アルゴリズムの基礎、システムと情報処理の関係について学びます。
データベースの基本的な概念、データの管理方法、リレーショナルデータベースなどについて学びます。
クラウドコンピューティングの基本概念、サービスモデル(SaaS、PaaS、IaaS)、クラウドの利点や活用方法について学びます。
AI、ビッグデータ、IoTなどの最新技術について学び、これらがビジネスにどのように応用されるかを考察します。
ウォーターフォールとアジャイル開発の比較、システム開発の流れ、プロジェクト管理の方法について学びます。
DXとは何か、必要性や進め方のステップ、進めるうえでのポイントについて説明します。
ITを活用したビジネス戦略の立案方法について学びます。SWOT分析やバリューチェーン分析を通じて、経営課題を明確化し、ITを活用した解決策を検討するプロセスを理解します。また、マーケティングやKPI設定、情報システム戦略の構築方法を具体例とともに学ぶことで、ITの役割を経営の視点で考えられる力を養います。
プログラミング入門として、Pythonの基本を説明します。
プログラミング入門として、HTMLやCSSの基本を説明します。
クラウドを使った演習として、ブログサイトの構築に取り組みます。
すべてのレッスンは、ゴールに向けて順を追って配置されていますので、順番どおりに進めてください。
レッスンの内容が理解できないときには、下記のいずれかの方法で解決につなげてください。
各レッスンにはいくつか課題を設けており、課題に取り組んでいただくことで、理解度をチェックできる構成になっています。各レッスンでの理解が浅いと課題ができないこともあるので、レッスンの内容をしっかりと理解しながら進めるようにしましょう。
ここでは、課題へ取り組むうえでの考え方やコツをご紹介します。
カリキュラムで用意している課題の目的は、それぞれ、以下の2つのどちらかです。
(1)ここまでの理解度を確かめる
(2)応用力を身につける
【(1)ここまでの理解度を確かめる】
ほとんどの課題は、その課題のあるレッスンで学習した内容について、どれくらい理解できているか確かめることを目的としています。この目的の課題では、カリキュラムで説明していない内容が必要になることは、ありません。
【(2)応用力を身につける】
とくに後半のレッスンの課題は、その課題のあるレッスンだけでなく、その前までのレッスンで学習した複数の知識や技術も活用しなければ合格できない課題となっています。課題によっては、プラスαの知識をGoogleなどで検索して調べながら取り組む必要があります。
実際に課題へ取り組むうえで最初にするべきことは、課題の説明文をよく読んで 「最終的にどのような完成品を作ればよいか」 をイメージすることです。最終的に作り上げたものを成果物と言います。
成果物は、画面に文章を表示するプログラムやWebアプリ、デザインされたWebページ、レポート形式のドキュメント等さまざまです。課題の説明で事細かに成果物の仕様を述べている場合もあれば、作り方は自由としている場合もあります。
いずれにせよ、完成形がわからなければ、取り組みようがありません。成果物(ゴール)をイメージすることが第一歩です。
成果物(ゴール)をイメージできたら、現状(スタート地点)と成果物を比較して 「何が不足しているか」 を考えます。この「不足している要素」を、課題へ取り組む中で作成すれば良いのです。スタートとゴールの差のことを ギャップ とも言います。
課題には、ひな形(途中まで作成しているもの)に追記して完成させる課題もあれば、ゼロからすべて自力で作成する課題もあります。どちらの場合でも、スタートとゴールのギャップを考えることで、取り組み方の方針が見えてきます。
あとは、ゴールに向かって成果物を作成していくだけです。
とはいえ、上から下へ一方通行で進めれば成果物が作れる課題もありますが、ある程度の規模の成果物を作る課題の場合、一方通行で一気に作れるものではありません。不足している要素(課題のなかで作るべき要素)を複数の部分に分けて、少しずつ作成する 方法をとると、取り組みやすくなります。
少しずつ作成する一例を下記に示します。現時点で未学習の言葉を使っていますので、今は軽く読み進め、学習がある程度進んでから見返してみてください。
【例:プログラムのなかで独自の関数(引数をもつもの)を作成】
最後の部分が完成したら、すぐ提出する、というのはやめましょう。誤字脱字など、さまざまな要因によって、プログラムが正常に動作しなかったり、デザインが崩れたりするのは良くある話です。そのような状態のまま成果物を提出しても、再提出の判定となってしまいます。
提出する前に、当初想定していたゴールのイメージどおりになっているかをチェックしましょう。
本コースでは、実践を重要視しています。実践してみて、はじめて気づくことも多いはずです。プログラミングやその思考方法は、実践のなかで身につきます。サンプルコードや配布教材があっても、キーボードで実際にプログラミングしながら進めてください。
最後に、優秀なメンターが待機していることを忘れないでください。メンターの方々は多くの現場で活躍し、プログラミングでサービスや製品を作り上げてきた本物の人たちです。今までプログラミングをはじめてみては挫折した人も、現場のプロがいつでもサポートしてくれるテックアカデミーの環境で、学習をやりきりましょう。
本コースを終えたとき、今とは違う自分になれるよう、がんばってください!
このレッスンでは、私たちが日々利用するさまざまなサービスや機器にIT技術が組み込まれていることを学んだうえで、本コースを通じて身につけるべきスキルや、学習のゴールを確認しました。
私たちの身の回りでは、パソコンやスマートフォン、クラウド、Webサービス、さらにはオフィスの複合機や自動改札機、IoT機器など、ビジネスや日常生活のあらゆる場面でITが活躍していることがわかりました。
また、こうしたIT技術の普及は今後も衰えるどころか、AIやビッグデータ、IoT、AR、VRといった先進技術の進展によって加速していくことが予想されます。そして、国内外でIT人材の不足が課題となる中、ITを活用できることはビジネスパーソンにとって必須の素養となりつつあります。IT活用スキルを身につければ、新しい働き方やビジネスモデルへの対応がしやすくなり、エンジニアや専門家とのコミュニケーションも円滑になるでしょう。
本コースの学習を通して、これらのIT基礎スキルや考え方を身につけ、変化し続けるテクノロジーの世界で自信をもって行動できる人材を目指していきましょう。
このレッスンで学んだことを振り返り、理解度を確認しましょう。